ドナルド・トランプと国連-シリアの事例で具体的に読み解く

「国連については、1月20日以降
今までと違う展開になるだろう」

ドナルド・トランプ氏は
twitterでそう宣言しました。

実際には、2016年12月23日に
国連安全保障理事会において

パレスチナ自治区内の
イスラエルの入植活動を
非難する決議に対して

きわめて異例なことに
オバマ政権が
拒否権を発動せず

棄権に回ったことから、

この件に関して拒否権の発動を
主張していた
ドナルド・トランプ氏が

イスラエル寄りの姿勢を
あらためて明確にしたもの
のようですが、

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わたしには、「アメリカが今まで
国連を私物化し、

日本やヨーロッパを巻き込んで
アメリカ単独覇権主義の道具として
国連を使ってきた。

わたしが大統領に就任すれば、
ロシアや中国といった

世界の大国の立場も十分にわきまえながら、
多極的な世界をつくりあげる

実質的な国際協力の場にしていきたい」
という趣旨に聞こえます。

といっても、具体的に
どういうことなのか、分かりにくいでしょう。

シリア内戦とアメリカ、国連のかかわりを
振り返りながら、解説していきます。

わたしの過去記事

「アレッポをシリア政府が取り戻す!
IS(イスラム国)とアメリカの
意外な3つの関係」で、

シリア政府=ロシア連合が2016年12月15日に
シリア北部の最重要都市アレッポを
制圧したことについて書きました。

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シリアをめぐる、欧米とロシアの
対立の状況について今一度整理しましょう。

ロシアのウラジミール・プーチン氏は、

2016年12月15日-16日の日本訪問中、
シリア問題でトルコのエルドリアン大統領と
連絡を取り合っていること、

シリア和平の枠組みに関する国際会議を
カザフスタンの首都アスタナで行う
見通しであることを発表しました。

以下、私が主な情報源としている
「田中宇の国際ニュース解説」からです。

ロシア主導のシリア和平会議の開催地がカザフスタンである理由は、カザフのナザルバエフ大統領が、昨年から2回、シリアの野党とアサドの交渉仲裁を試みており、今回も開催地をやりたいと希望したからだ。今回の仲裁役であるロシア、カザフ、トルコ、イランは、いずれも中露主導の安全保障・テロ対策の国際機構である「上海協力機構」に参加している(トルコとイランは準加盟)。中国は主役でないが、シリアが安定したら経済支援すると言っており、カネを出す役だ。シリア政府は、内戦終結後の上海機構への参加を望んでいる。アスタナのシリア和平会議は、上海機構による会議であるといえる。

シリア内戦を終わらせるための和平会議は従来、スイスのジュネーブにおいて米国主導で行われてきた。だが、米国はアサド大統領が権力を手放すことを和平交渉の譲れない条件にし続けたため、アサドの同意が得られず、反政府側の結束もないままで、交渉にならなかった。アスタナの和平会議は、ジュネーブの枠組みと全く別に開催される。アサド辞任に固執する米国や(米傀儡として動かされている)国連は、アスタナの交渉に呼ばれていない。

中国の「上海協力機構」は
あまり知られていませんね。

これからの世界情勢の中で
重要な役割を果たすことになるので、

ぜひ気にとめておいてください。

表舞台にはロシアが立っていますが、
実際には中国の存在感も
大きいのがシリア問題です。

今、この展開について、
日本ではどのように
報道されているのでしょうか?

産経ニュースの2016年12月23日の

『「米国排除」が鮮明に
ロシア、イラン、トルコの
協力関係強化』

という記事を見てみましょう。
ポイントは3つあります。

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  • オバマ米政権は、シリア=ロシアのアレッポ攻略で民間人に多くの被害が出ていることを「残虐行為」と非難
  • アメリカが支援してきた反体制派がアレッポで敗北し、米軍主導の融資連合に参加するトルコもロシア主導の和平協議に傾斜したことは、オバマ米大統領が進めてきた戦略が破たんしたことを意味する
  • トランプ次期大統領は、IS掃討のためならロシアやアサド政権と協力することもいとわない考えを示している

記事の最後に、「自ら(トランプ氏)が
アサド政権にどう臨むかは
明確になっていない。」

せっかくいい記事を書いているのに、

最後のセンテンスが
本当にもったいないなとおもうわけです。

だって、ドナルド・トランプ氏が
ロシア、シリア、トルコ、イラン、中国の
動きを容認し、

場合によっては明確に支持するに
決まっているからです(笑)

多極的な世界に近づきますから。

アメリカ第一主義を体現できますから。

それに、オバマ大統領の戦略が
破たんしたという見方は短絡的です。

彼の名役者ぶりから推察すると、
オバマ大統領の描いたとおりに

事態は推移していると見るのが自然です。

次に、シリアの人道問題について
触れておきましょう。

悲惨な状況におかれた市民の投稿動画が、
好んでメディアで報道されています。

そして、決まってロシアが非難されます。

事態は、そんなに単純なのでしょうか?

国連のシリア問題担当は、
アレッポ陥落前にシリア軍が

少なくとも82人の一般市民を虐殺した
という発表を2016年12月13日に行いました。

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プレスリリースはこちらをクリック

 

東アレッポには、
5万人の市民が暮らしていました。

うち4万人は一般市民で、
1万人が過激派のテロリスト
(イスラム国)またはその家族です。

一般論として、シリアのような
内戦状態のときに、
政府軍がテロリストを攻撃する際、

テロリストの「家族」は決して
政府軍に屈することはありません。

政府軍からみれば一般市民ではなく、
明確な敵です。

彼らを殺害することが、
「虐殺」なのでしょうか?

また、テロリストはそれこそ
一般市民を盾とするために、

あらゆる手段を尽くしました。

それに抵抗した一般市民は、
容赦なく殺されたようです。

これは、「少なくとも82人以上」
などという生易しい数ではないはずです。

しかし、国連が過激派テロリストの
人道問題をあげつらうことはありません。

なぜなら他ならぬアメリカが

公式にイスラム国を支援している
関係にあるからです。

アメリカは確かに有志連合で
2014年からIS(イスラム国)
を対象に空爆してきました。

しかし、本気でIS(イスラム国)を
敵視していないので、

一般市民の被害が増えるだけに
終わりました。

この時の「人道的な」問題について
報道されることは一切ありませんでした。

「人道的」この言葉は、
最も政治的に利用されている言葉の
ひとつです。

アメリカの傀儡である国連も
好んでこの表現を使います。

ドナルド・トランプ氏は

国連を単なるパフォーマンスの場ではなく

現実的に世界の問題を実質的に協議する場に
変えたいのだと

わたしは冒頭のtwitterから強く感じました。


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