ドナルド・トランプと諜報機関の仁義なき戦い

ジョージ・ブッシュ

           ジョージ・ブッシュ元大統領

ドナルド・トランプ氏は、

CIA(中央情報局)
FBI(連邦捜査局)
NSA(米国安全保障局)

といった諜報機関と
全面戦争をする腹を決めました。

ドナルド・トランプ氏は、
これらの機関が本来の仕事をせず、

ウソの情報ばかりねつ造し、
「誰も読まない」書類ばかり
せっせと作っていると批判しています。

ドナルド・トランプ氏は、
まだ政権移行チームは否定していますが、

これら機関の本部機能を大幅に縮小し、
職員もリストラ、

デスクワークやコンピュータに頼った
諜報活動ではなく、

現場で足で生の情報を仕入れる
現業機関に改造するつもりです。

ウソの情報の例としては、
もう語りつくされていますし、

イギリスの「チルコット報告書」でも
明らかになったように、

イラク戦争開戦の大義名分であった
「イラクが大量破壊兵器を持っている」
という情報はCIAのねつ造でした。

何の証拠も示さず、
「状況から見て持っているはずだ」という論法は、

アメリカの諜報機関の
伝統的な負の側面です。

2016年12月12日、
アメリカで大きな動きがありました。

2013年から、イラク戦争について
当時のブッシュ大統領他の高官を

ニュルンベルク諸原則違反と
訴える訴訟が断続的に続いていて、

アメリカ司法省や裁判所は
ずっとこの訴えを棄却してきました。

そんな中で2016年12月12日、
サンフランシスコに本部を置く

アメリカ合衆国第9区控訴裁判所で
この一連の流れについて原告側の話を口頭で30分、

スーザン・グラバー裁判官
アンドリュー・ハーウィッツ裁判官
リチャード・ボウルウェア裁判官の

三人が聞くという画期的な
出来事がありました。

その様子はYouTubeで見られます。
(英語 32分12秒)

公職にある者を「個人的に」罪に問えるのか
というところがやはり論点になっています。

ウェストフォール・アクトという規則があり、
アメリカの政府機関の雇用者が

その雇用の範囲で法を犯した
という疑惑の結果、

雇用者が訴えられた場合に
どのような行動に関するものであっても

アメリカ合衆国を代理人に立てる
ことができると定められています。

アメリカ司法省は、この規則を盾に、
ブッシュ元大統領をはじめとする

被告たちはイラク戦争を計画、
遂行していた時には雇用者の立場の範囲で
活動していたのであり、

それによるどのような損害も、
個人に帰することはできないと
主張しています。

ウェストフォール・アクトによると
雇用者の立場でなされた危害は、

雇用主(この場合はアメリカ合衆国政府)
の責任で、国民国家として、

国家主権による免責特権として
あらゆる犯罪の起訴から免れている
という論理を展開しています。

イギリスで「チルコット報告書」が公表され、
ブレア元首相が戦争犯罪人として
非難されるような状況が

本丸のアメリカで起きるには、
この一連のロジックを崩すことが
必要になります。

今回の30分では、
司法側はやはり従来通りの姿勢なのかなあ、
過度の期待はできないなあという印象です。

とはいえ、原告たちに公の場での発言が
初めて許されたという意味では画期的で、

主流メディアは完全無視だったようですが、
一部のメディアが取り上げています。
(論調は期待し過ぎの感ありです)

YourNewsWire.com
George W. Bush ‘War Crimes’ Trial Begins In California Court
(ジョージ・W・ブッシュ「戦争犯罪」裁判がカリフォルニアの裁判所で始まる)
2016年12月7日 記:Sean Adi-Tabatabai

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Former President George. W Bush may face trial at a California court for committing war crimes in Iraq, in an unprecedented announcement made by the U.S. Court of Appeal.

The United States Court of Appeal for the Ninth Circuit today confirmed that Judges Susan Graber and Andrew Hurwitz will hear arguments on December 12, 2016, in the case of Saleh v. Bush.

Witnessiraq.com reports:

Saleh v. Bush involves claims by an Iraqi woman, Sundus Shaker Saleh, that former President George W. Bush and other high ranking Bush-era officials broke the law when they planned and waged the Iraq War.

Saleh alleges that former Bush Administration leaders committed the crime of aggression when they planned and executed the Iraq War, a war crime that was called the “supreme international crime” at the Nuremberg Trials in 1946.

Saleh is appealing the immunity provided to the Defendants by the district court in December 2014.

“We are pleased that the Ninth Circuit will hear argument. To my knowledge, this is the first time a court will entertain arguments that the Iraq War was illegal under domestic and international law,” Saleh’s attorney D. Inder Comar, legal director at Comar LLP, said. “This is also the first time since World War II that a court is being asked to scrutinize whether the war itself was an illegal act of aggression — a special war crime that was defined at the Nuremberg Trials in 1946.” Comar is handling Saleh’s case pro bono.

(アメリカ合衆国控訴裁判所の前例のない発表によって、ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、イラクの戦争犯罪への関与についてカリフォルニアで裁判に直面するかもしれません。アメリカ合衆国第9区控訴裁判所は本日、スーザン・グラバー裁判官とアンドリュー・ハーウィッツ裁判官が「サラ vs ブッシュ」案件につき2016年12月12日にヒアリングを行うと発表しました。Witnessiraq.comがリポートしています:サラ vs ブッシュは、ジョージ・ブッシュ元大統領と他のブッシュ時代の高官たちがイラク戦争を計画、遂行する時に法を犯したというイラク人女性サンダス・シェイカー・サラの訴えからなっています。サラは、ブッシュ政権のリーダーたちがイラク戦争の計画と遂行に際して侵略の罪を犯し、これは1946年のニュルンベルク裁判での「最高の国際犯罪」にあたると主張しています。サラは、2014年に地方裁判所で被告に与えられた免責に対して控訴しています。「第9区控訴裁判所がヒアリングしてくれることを嬉しくおもっています。私の知る限り、これはイラク戦争が国内法、国際法に照らして違法だったという議論を裁判所が検討する初めての機会です。」サラの弁護士、コマーLLPの法務部長インダー・コマー氏が言いました。「これはまた、裁判所が戦争そのものが侵略の違法行為-1946年にニュルンベルク裁判で定義された特別な戦争犯罪であるかどうか精査することを求められるという、第二次世界大戦以降初めての事態でもあります。」コマーは、サラの案件を無償で手伝っています。)

翻訳責任者:溝渕卓生

コマー氏が言うには、
かなり重要な機会だったようです。

今後、ドナルド・トランプ氏が
諜報機関つぶしを本当にやれば、

この件も動きがでてくるかもしれません。

ドナルド・トランプ氏が
諜報機関つぶしをしようとする件ですが、

CIAについてNEWYORKPOST紙が
まとめた記事を書いているので、全文を訳します。

NEWYORKPOST
Trump wants to shake up the CIA
(トランプはCIAを再編したがっている)
2017年1月4日 記者:Chris Perez

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ドナルド・トランプはCIAをリストラする
計画を練っています

-ラングレイの本部スタッフを削減し、
世界中の現場にエージェントを
振り向けるとリポートに書かれています。

「トランプ政権移行チームの視点は、
諜報界が完全に政治化されて
しまっているというものです。」

次期大統領に近い筋がウォールストリート
ジャーナルに語ったことです。

そのインサイダーは、トランプの計画を
熟知している数少ない一人であり、

トランプのアドバイザーたちは、
アメリカ合衆国国家情報長官のオフィス(ODNI)

についても規模の縮小を計画していると述べました。

「そうした機関は全てスリム化する必要がある。
焦点は、再編し、いかに相互交流していくかだ。」

この計画に絡んでいる人の中には、
すでにトランプ政権でCIA長官として
働くよう選ばれているマイク・ポンぺオ氏、

ドナルド・トランプの国家安全保障を
担当する大統領補佐官に選ばれ、

2013年まで国防情報局長官を務めた
マイケル・フリン氏も含まれています。

ODNIは、9.11を受けて諜報機関同士の
調整を助けるために2004年に設立されました。

多くの共和党議員が
その改革を提案したにもかかわらず、

その仕事は難航しました。

トランプのアドバイザーたちは、

トランプがCIAの正確性を疑問に思い始めたのは、
ここ数年の話ではないといいます。

-特に2002年と2003年ごろ、
ちょうどイラク侵攻のあたりでした。

しかし、最近ではもっぱらロシアが大統領選挙に干渉し、
DNC(民主党全国委員会)のハッキングを行ったという
CIAの主張に焦点を当てています。

たとえ、アメリカの高官たちが、
議会の共和党、民主党のリーダーたちも
CIAの検証の結果に合意したとしても、

トランプはCIAを激しく非難し、
代わりにロシアを称賛することにしています。

ロシアは、どのようなハッキング作戦にも
関わっていないと主張しており、

トランプは過去何カ月にもわたって
彼の連帯感をtwitterで表明してきました。

ウィキリークスの編集長ジュリアン・アサンジ

フォックスニュースからのインタビューで
DNCとヒラリー・クリントンのアドバイザーたちへの
ハッキングについてロシアの関与を否定しました。

何千通もの電子メールが盗まれ
ウィキリークスに掲載されましたが、

アサンジはロシアが情報源ではないと
主張しました。

この後ごく最近の水曜日に
トランプはこうtweetしました。

「ジュリアン・アサンジは
「14歳の子供でもポデスタのハッキングができた」
と言った。

DNCはなぜそこまで不注意なんだ?

そしてロシアが情報提供してはいないと言った!」

諜報機関のエージェントたちは、
次期大統領のソーシャルメディアでの
振る舞いやCIAを認めていないことに

大変不快だと言います。

あるエージェントは、こう言いました。

「本当にゾッとする。CIAを怒鳴り散らして
良くなった大統領はいない。」

他のエージェントは
「諜報機関よりアサンジに味方するとは、
本当に恐ろしい。」

ラングレイのスタッフを減らして
世界中の現場にエージェントを振り向ける計画も、

エージェントたちには
気味が悪いでしょう。

「彼らは恐怖におののいている。」
元上級諜報官がそう言っています。

翻訳責任者:溝渕卓生

さて、今日のラストはCIA、FBI、NSC、
オバマ大統領がつるんで

ロシアが大統領選挙にサイバー攻撃を
しかけてきたと断定している件です。

根拠となる文書で公になっているものは、

2016年1月6日付けの

“Assessing Russian Activities and Intentions in Recent US Elections”
(最近のアメリカ大統領選挙におけるロシアの活動と意図を評価する)

25ページのPDFです。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓
評価文書はこちらをクリック

全文読みました。感想は、
「何が言いたいの??」です。

米ソ冷戦、シリアでの米ロ対立、
強力だったKGBなど、

過去の文脈があるから、

そしてヒラリー・クリントン氏は反ロシアで
ドナルド・トランプ氏は親ロシアという

文脈があるから、

CIAはすごいという文脈があるから、

何となく正しそうに思えますけど、
純粋な読み物としてこの文書を読むと、

かなり情なくなります。

ロシアがヒラリーを落とすために
大統領選に干渉したという結論があるだけで、

それを支持する証拠となるものが
ある気がしません。

もちろん、国家機密だから
詳しいことは書けないという

注釈は有りますけど、それにしても。

状況がこうだから、ロシアはこう考え
こう行動したに違いない。

というそれだけ。

イラク侵攻のときと大変似ています。

あと複数の識者が指摘していますが、
以下の部分は興味深い点です。

We also assess Putin and the Russian Government aspired to help President-elect Trump’s
election chances when possible by discrediting Secretary Clinton and publicly contrasting her
unfavorably to him. All three agencies agree with this judgment. CIA and FBI have high confidence
in this judgment; NSA has moderate confidence.

(私たちは、プーチンとロシア政府がクリントン氏の評判を落とし可能な時はトランプ次期大統領を助け民衆にクリントン氏がトランプ氏より好ましくないように見えるようにしたと評価します。全3つの機関は、この判断に合意します。CIAとFBIはこの判断に非常に自信を持っています。NSAはそこそこ自信があります。(「そこそこ」のところは訳すのが難しい~))

翻訳責任者:溝渕卓生

なぜNSAは非常に自信がある、
と書かないのか、ですが

田中宇さんはNSAが何ら証拠をつかんでないからだ、
としています。

NSAと言えば、あのエドワード・スノーデン氏が
告発したように完全なるサイバー監視網を持っており、

ロシアが仮にDNCにハッキングしたとしたら、
その活動が検出されないはずがない、
というのです。

NSAはCIAよりはるかに巨大で、
予算も潤沢な組織です。

だからmoderateと書くしかない、
としています。

では、ヒラリー・クリントン氏の電子メールを
ウィキリークスに誰が渡したのか?ですが、

<ワシントンの公式筋説>

↓ ↓ ↓ ↓ ↓
記事全文はこちらをクリック

ワシントンの公式筋(例えばオバマ大統領?)
によるものという説。

ロシアのスプートニクの説なので怪しい?

<民主党のインサイダー>

田中宇さんの説。

ハッキングではなくメモリ等による
物理的なリークでウィキリークスに持ち込んだという。

<やっぱりプーチン大統領が命令してロシアがハッキングした>

これは、ないとおもいます。

ただ、評価文書にあるように
RTなどのメディアを使って

反クリントン的な言説を
広めたりはしたでしょう。

でも多分、あの時期のハッキングは露骨すぎて
スマートなプーチンに似合わない感じがします。


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